酒田五法|ローソク足のパターンからトレンド転換を察知する

酒田五法というのは、江戸時代に米商売で富を築いた男、本間宗久が生み出したローソク足ベースのテクニカル分析法です。

ローソク足のパターンを見て、トレンドが転換するか継続するか判断できるというものです。必ずパターンが一致するわけではないですが、知っておいた方が戦力アップすること間違いなしです。

酒田五法の全てを覚えようとすると大変なので、このくらいまでは知っておいた方がいいというものだけを集めました。

酒田五法は大きく分けると以下の2つに分けられます。

  • トレンド転換を教えてくれるもの
  • トレンド継続を教えてくれるもの

今日はトレンド転換のサインについてまとめてみました。

ローソク足が形成されるまでの動きやトレーダーの心理を想像しながら、理解していきましょう。

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その前に、基本の形をちょろっとみてみましょう。

ローソク足の基本の形

陽線は上昇した時のローソク足、陰線は下降した時のローソク足でしたね。少しヒゲ系のローソク足について説明して行きます。

上ヒゲ陰線・下ヒゲ陽線 重要

上ヒゲ陰線が天井に出ると下落の可能性があります。一度は上昇したけど、最終的には売り勢が勝ったことを表します。買い勢の力が出切ったという見方もできます。

下ヒゲ陽線が底に出ると上昇の可能性があります。一度は下落したけど、最終的には買い勢に勝ったことを表しています。売り勢の力が出切ったという見方もできます。

上ヒゲ陽線・下ヒゲ陰線

 

上ヒゲ陽線が天井に出ると下落の可能性があります。一度は上昇したけど、だいぶ売り勢に抵抗されたことを表します。

下ヒゲ陰線が底で出ると上昇の可能性があります。一度は下落したけど、だいぶ買い勢に抵抗されたことを表します。

ここまでは、上ヒゲ陰線と下ヒゲ陽線に性質が似ていますね。しかし、別の性質も兼ねています。

上ヒゲ陽線が底で出ると上昇の可能性があります。売り勢に抵抗されたけど、最終的には買い勢が勝ったことを表します。

下ヒゲ陰線が天井で出ると下落の可能性があります。買い勢に抵抗されたけど、最終的には売り勢が勝ったことを表します。


すでに隠線と陽線がごっちゃになって混乱している人もいると思います。

でも大丈夫!

チャートを見て脳内のローソク足パターンを引き出せるようになることがゴールです。チャート上で見ると大まかな性質は想像できるようになるので完璧に記憶しようとしなくていいですよ。

ただ、ローソク足が出来上がる動きは必ず想像しながら読み進めて欲しいと思います。覚えるより理解することに意識を向けてください。

ではここから酒田五法の真髄・複数のローソク足のパターンを見ていきたいと思います。

トレンド転換のサイン

三山(さんざん) /トリプルトップ 重要

売りサイン

3回挑戦しても高値を更新できないことから、買い勢が撤退し下降します。海外ではトリプルトップと言います。山が2つのパターンのダブルトップも売りサインとして注目されます。

逆三山 /トリプルボトム 重要

買いサイン

3回挑戦しても突破できないことから、売り勢が撤退し上昇します。海外ではトリプルボトムと言います。山が2つのパターンのダブルボトムも買いサインとして注目されます。


三尊(さんそん) / ヘッドアンドショルダー 重要

売りサイン

トリプルトップの真ん中が高いパターン。ど真ん中を境に売り勢が強くなり買い勢が撤退していく状態です。

菩薩・釈迦・菩薩が並んでるように見えるので三尊といいます。海外では両脇が肩で真ん中が頭に見えることからヘッドアンドショルダーと言います

逆三尊 / ヘッドアンドショルダーボトム 重要

買いサイン

買い勢が力を増し、売り勢が撤退していく状態です。トレンドの終わりによく見る形です。


宵の明星→激しいV字下落

売りサイン

窓を開けるほどの急上昇ですが、その後は伸びなかったために小さなローソク足となり、そこに陰線が続くと下降します。右側のように、同事線のパターンもあります。ローソク内の動きを辿ると単なるV字であることがわかると思います。「窓が開くほど激しいV字」くらいに認識しとくと覚えやすいかもしれません。

明けの明星→激しいV字回復

明けの明星

買いサイン

窓が空いたV字回復です。窓を開けるほどの急下落でしたが、その後は伸びなかったために小さなローソク足となり、そこに陽線が続くと上昇します。


三空踏み上げ

売りサイン

激しい上昇も窓を3つ開けたら利益確定組が出てくる=下降するという考えです。ポジションの決済目安にするといいと思います。リスク承知で逆張りもできます。

三空叩き込み

買いサイン

激しい下落も窓を3つ開けたら利益確定組が出てくる=上昇するという考えです。ポジションの決済目安にするといいと思います。リスク承知で逆張りもできます。


赤三兵の先詰まり

売りサイン

勢いよく上昇してきましたが、最後には上ヒゲ陽線となり、買い勢の失速・売り勢の抵抗が現れているので下落します。

黒三兵の先詰まり

買いサイン

勢いよく下降してきましたが、最後には下ヒゲ陰線となり、売り勢の失速・買い勢の抵抗が現れているので上昇します。当時の陰線の色が黒だったため、陰線が3つ並んでいるのを黒三兵と呼びます。


ここからはらみ線です

はらみ線とは
長いローソク足の次にできるローソク足が、長いローソク足に納まっている様子。1本目を母体、2本目を赤ちゃんに見立てた呼び名。

陽の陰はらみ→上ヒゲ陽線

売りサイン

上昇トレンド中の大陽線が陰線をはらんだら、次のローソク足に注目。陰線が出たら下降することが多いです。陽線の場合は、単なる押し目でありそのまま上昇することもあります。はらみ線二つの動きを組みわせると、上ヒゲ陽線と同様の動きをしています。

陰の陽はらみ→下ヒゲ陰線

買いサイン

下降トレンド中の大陰線が陽線をはらんだら、次のローソク足に注目。陽線が出たら上昇することが多いです。陰線の場合は、単なる押し目でありそのまま下降することもあります。はらみ線二つの動きを組みわせると、下ヒゲ陰線と同様の動きをしています。

陽の陽はらみ

売りサイン

陽線が続いたにも関わらず、一つ前のローソク足を上抜けできなかったということは、買い勢が失速してきたことの現れ。はらみ線の次に同事線や陰線が出ると下降していきます。

陰の陰はらみ

買いサイン

陰線が続いたにも関わらず、一つ前のローソク足を下抜けできなかったということは、売り勢が失速してきたことの現れ。はらみ線の次に同事線や陽線が出ると上昇していきます。


ここから包み線です。

包み線

1本目のローソク足を2本目のローソク足が包むような形になること。

天井の包み線 上ヒゲ陰線

売りサイン

上昇トレンドの陽線を完全に包みこむ大陰線は、売り勢の強さの現れ。二つのローソク足で上ヒゲ陰線と同様の動きをしています。買いポジションは決済しておきたいところです。

底の包み線 下ヒゲ陽線

買いサイン

下降トレンドの陰線を完全に包みこむ大陽線は、買い勢の強さの表れ。二つのローソク足で下ヒゲ陽線と同様の動きをしています。売りポジションは決済しておきたいところです。

天井のクライマックス包み線

売りサイン

上昇トレンドに現れた陰線を包みこむ大陽線は、クライマックス買いと見られます。包み線の後に、陰線が出たら下降に転じる可能性が強いです。二つのローソク足で下ヒゲ陽線と同様の動きをしています。

底クライマックス包み線

買いサイン

下降トレンドに現れた陽線を包みこむ大陰線は、クライマックス売りと見られます。包み線の後に、陽線が来たら上昇に転じる可能性が強いです。二つのローソク足で上ヒゲ陰線と同様の動きをしています。


陰線5本

売りサイン

上昇トレンド後の横ばいの陰線5本は、下降したいけど買い勢の抵抗を受けている状態。じわじわと下降に転じ初めています。買いポジションは一旦決済しておきたいところです。

陽線5本

買いサイン

下降トレンド後の横ばいの陽線5本は、上昇したいけど売り勢の抵抗を受けている状態。じわじわと上昇に転じ初めています。売りポジションは決済しておきたいところ。


団子天井 / ソーサートップ

売りサイン

団子みたいに丸い天井であることから団子天井と呼ばれます。海外ではひっくり返したソーサー(お皿)に見立ててソーサートップと呼ばれています。

上昇トレンド後に短いローソク足が何本も続く状態。勢いが溜まっていく場面なので、下抜ける陰線が出現したら一気に下降することもある。買いポジションは決済しておくと安心。しかし、ここから上抜けた陽線が出ると上昇することもあるので、損切りを小さいローソク足の安値に設定しておくのも良策。

鍋底 / ソーサーボトム

買いサイン

鍋底のように平たい底になることから鍋底と呼ばれます。海外ではソーサー(お皿)に見立ててソーサーボトムと呼ばれます。

下降トレンド後に短い足が何本も続く状態。そこから上抜けた陽線が出現すると上昇していくことが多い。売りポジションは決済しておくと安心。この場合もここから下抜ける陰線が出ると下降する可能性もあります。


以上です。

トレンド転換サインは以上です。多いように感じたかもしれませんが、売り買いを一つのセットと見ると11パターンだけです。何度か読み直すだけでもインプットは捗ると思います。お役立てくださいね。

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4 COMMENTS

ハニ坊

こたつさん、お久しぶりです。
先日、早速メルマガ登録をさせて頂いて、トレンド転換のワークをやり始めました。
ふと気になったのですが、見る時間足はどれでも良いのでしょうか?
また、教えて頂いたパターンには当てはまる形状ではありますが、結果トレンド転換になっていない場合でも、ストックしておいても良いのでしょうか?

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こたつ

ハニ坊さんへ。
時間足は、こだわりがなければ日足でみておくといいかもしれません。下位足の動きを見たくなった時に、日足より下位の足がいっぱいあるからです。
「パターンに当てはまるのに、トレンド転換しない時もある」とメモしておきましょう。
それを念頭に置いて、ストックしておくのもいいと思います。画像を見返した時に「転換サインではある(けど、転換しない場合もある)」と思い出すことができれば、とても効果的です。

この質問を参考に、みんなが分かるよう改良を加えていきます。コメントありがとうございます^^

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ひら

FXでは、窓は週明けぐらいしかないので、
以下の4つは、発生しないのではないでしょうか?
・宵の明星
・明けの明星
・三空踏み上げ
・三空叩き込み

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こたつ

確かに、完璧に一致する動きは確かに少ないですが、似たような動きは見かけます。
例えば、GBPJPY週足の2020/2/23~2020/3/15は、陽線が混じっていますが、三空叩き込みに限りなくちかいです。(その後上昇しました)
終値と次のローソク足の始値が乖離しているので窓が開いてます。
あとは、GBPJPY週足2018/10/28~2018/11/11は宵の明星です。(その後下落しました)
個人的には、完全に一致しなければパターンとして認められないわけでなく、類似する形であっても同様の性質を持っていると考えています。
三空シリーズは出現頻度は低いと感じますが、明星シリーズに近い形は転換前によく見かけるので覚えておいても良いかと思います。

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